「EVO JAPAN 2019」に行ってきました!(大会編)

2019年2月15〜17日にかけ、福岡国際センターで総合ゲーム大会「EVO Japan 2019」が開催。
この大会に筆者「伝説のオタク」と、同じPGWメンバーである「レン」「はやお」の3人で参加してきました。

【大会準備編】はこちら

【大会編】

部屋に差し込む微かな日の光。
ゆっくりと目を開けば、枕の隣には愛用のパンテラ。
EVO JAPAN 2019開催1日目の朝である。

起床時間は9:00に設定。
睡眠時間は約8時間。長すぎず短すぎず、これくらいがちょうど良い。
緊張で眠れるか不安だったが、昨夜は疲れもあったせいか、ぐっすり眠れたようだ。

シャワーを浴び、熱いコーヒーを飲みながら、「ツノダ」さんの買ってきてくれた甘いパンを食べる。優雅でごきげんな朝飯。デザートには好物の飲むヨーグルトまで用意されている。仕上がってる。

眠気は微塵も残っていない。全身が軽い。頭と目もスッキリしている。コンディションはバッチリ!

筆者は大会の当日に最も大事なものは、コンディション調整だと思っている。
10年前の若かりし頃に心がけていたことがいくつかあり、それを今でも意識してやっています。

具体的に何かと言うと……、


■伝タク式:大会前儀式メモ

①:試合の3時間以上前には必ず起きておく。

なぜならば:寝起きの直後は脳がまだ活性化しておらず、寝起き直後だと反応・判断力が落ちているから。できることなら試合の5時間くらい前には起きて風呂かシャワーも済ませたい。

②:ある程度の糖分を摂取する。

なぜならば:糖質は脳の回転を高めると噂で聞いているから。
筆者はよくアーモンド小魚を食べる。魚は目にも良いらしい。
噛むことでリラックス効果、および脳への刺激で眠気も覚める。

③:手を冷やさない。

なぜならば:手が冷たいと感覚が薄れて指先が動きにくいから。つまりホッカイロや手袋は必須。もし用意できなければ暖かいホットコーヒーの缶を持つなり、手首を軽く握って上下させながらグーパーさせて血の循環をさせる、手をポケットに入れておくなどでも温まる。

④:心拍数を抑える。

なぜならば:緊張で心拍数が高いと呼吸が荒くなり、脳に酸素が行かなくなる。
すると、思考能力が低下して判断能力が鈍る。
私はあがり症なのもあり、試合前に限らず緊張すると頭の中が真っ白になり呼吸すら困難になります。
これの対策として、真上を見ながら気道を確保しつつ、大きくゆっくり深呼吸することなどで対処しています。道具を使わずに試合の直前でもできることなのでオススメです。

要するに、リラックスして呼吸を落ち着けられればいいので、人によってはガムを食べる、タバコを吸う、音楽を聴くなど色々な方法があると思います。

武道における「心技体」みたいなものですが、これらを意識して脳、目、指、心臓を正常な状態にすることが、筆者にとっての大会における「コンディション作り」です。

日頃の練習の成果を、緊張や眠気で十分に発揮できないのはもったいないことです。
100%とは言えませんが、これらで1%でも実力が発揮できるなら……
大げさかもしれませんが、やれることは全部やっておきたいのです。


さて、前置きが長くなりましたが、筆者はそんなことをしつつEVO JAPAN会場に向かうのでした。

会場に着くと、そこにはすでに多くの人でにぎわっていました。
参加プレイヤーの列は長蛇となり、そこで有名なプロゲーマーさんも多く見かけました。
まだ肌寒い朝だったので、手が冷えないようにホッカイロを握りしめて並んでました

無事にメンバー全員が入場を済ませてロビーで記念撮影。ちょっとチャラいかもしれないけど、これが我々の戦闘服(ユニフォーム)です。筆者はめっちゃ気に入ってます。そして全員気合はバッチリ!

入場後は、ロビーで各自が出場するゲームのタイトルと試合開始の場所を、大会エントリーシートに記入をすることから。スマホを取り出してそれらを確認しようとするも、すでに緊張で混乱していたのでスマホの操作が思い出せない状態。(そもそも元からスマホの使い方がよく分かっていない。)

筆者の冒険はここで終わりかもしれない……と絶望が頭を過るも、サポートメンバーが前もって全部調べてくれていたので「伝タクさんは、14:30から〇〇番でスト5の試合です。」と教えてもらい、シートの記入の仕方まで教えてもらいました。

そんなこんなで、最初の関門をクリア―。
気分的には「格ゲーのチーム戦で何もしてないのに勝ち上がった」感覚。

筆者一人では試合の場所まで辿り着けなかったかもしれない。
そもそも飛行機に一人で乗れないので、今頃成田空港に居たかもしれない。
圧倒的感謝。

会場のドアを開くと空気が変わった。
中央には試合を映す大きなメインモニターと、大音量のゲーム音。
そしてプレイヤーの熱気で温まっている室内。

ここは戦場なのだ。一瞬で気持ちが切り替わり、同時に心臓の鼓動が高くなっていくのを感じる。筆者の心拍数が平均60から1280くらいまで跳ね上がる。

何歳になってもやはり緊張はする。こればかりは向き合わねばならない。
試合まではまだ時間があるので、筆者は次にリラックスするための活動を開始する。

ツノダさんからいただいた甘いものを食べつつ、「代表&マネージャー」と喫煙所に行ったりしているうちにだんだん心拍数が下がっていく。体感720。良いペースだ。

そんなこんなで戦場を散策していると、「田中さ~ん。」と聞き覚えのある声が後ろから。
そもそも筆者のことを「田中さん」と呼ぶのは日本に5人くらいしかいない。

ここでは名前は伏せるが、振り返らずとも分かる。いつも陽気な弟子、、、「J」だ……。

彼もまたこの大会に参加しているようで、しばらく雑談しながら散歩することに。
ヘンなこと言っていつも笑わせてくれる弟子のおかげで、筆者の心拍数は更に下がり642くらいに。一緒に居ると安らぐ存在はこんなときありがたい。弟子、ありがとうよ。


そして、そろそろ試合開始の時間が迫る。
それぞれの健闘を祈り、筆者、はやお、レン、弟子は散り散りになってそれぞれの試合テーブルへ向かう。

この時点で心拍数は2500くらいに。よし……いつも通りの俺だ。

人をかき分け、なんとか試合テーブルに辿り着くと、そのテーブルの選手が集まっており点呼が始まる。

筆者の最初の対戦相手はザンギエフだ。ザンギエフです。ザンギ……ざんg……
しかも、古くから名前の売れた実力派の有名なプレイヤーさん。

が、筆者もここ最近は「はやお」と対戦しているため、
ザンギは苦手といいつつも対策すべきことはしっかりやってきた。

結果はどうあれ、やれることはやった。あとは勝つつもりでやるだけしか残ってない。
そして、悔いが残らないよう自分を出せるかどうか。それが今この場の全てなのだ。

そして、名前を呼ばれて着席。相変わらず筆者の名前は公共の場で他人に呼ばれると恥ずかしい。20年前のあの日に戻れるなら名前を変えたい。

初のEVO JAPAN。相手は強豪ザンギ。悪くない。

隣には代表とツノダさんが見守ってくれている。

「負けたらガッカリ」されるのかな……とか後ろ向きな恐怖感は全く浮かばない。

それは筆者がだんだスト5で自信がついてきたことと、弊社「グローバルセンス」のプロゲーマーであることに慣れてきた証拠でもあるのだ。

隣で撮影してるツノダさんがどう見ても一見「仕事のできる秘書」
これはどう見ても周りから見れば筆者が「ただ者ではないプレイヤー」に映るはず。

「これが秘書を持つ社長の気分か……ふっ…悪くない……」
自分が最強であるイメージを膨らませ、心に精神的余裕を持とうと考えてたら試合が始まりました。

キャラクター選択画面での心拍数は体感12600。二本場。
思ったよりはリラックスできているようだ。


■第一試合ザンギ戦

試合開幕はまず遠距離から少々下がり気味に「老」の飛び道具で様子を伺う。
これは本番で実戦。開幕から無茶はせずセオリー通りにいくことに。

上を強く意識しながら対空はキッチリ出してラインを上げ、たまに奇襲でイズナ投げを狙いにいく戦法。

この戦法でジワジワ体力を削るも、ザンギのトリガーが溜まってしまうと気楽に弾は撃てない。
そこからは「若」に切り替えて接近戦も織り交ぜる。緊張もあるので難しいカウンター確認などはなるべく意識せず、体力リードを活かしてシンプルな行動と安定コンボでローカロリーに戦う。

これが功を奏し、次のラウンドも同じ流れで1試合目を先取する。

しかし、2試合目は同じ試合展開の中で跳びを通され、起き攻めでスクリューを食らうたびに心拍数が倍増していく。その恐怖感でラインを下げ過ぎてしまい、画面端に追い詰められ、一瞬で是空の体力が溶けて負けてしまう。

こうして1:1となった最終3試合目。

すでに自分が何者で今どこにいて何をしているかや、隣にいるはずの代表と秘書の名前すら思い出せないどころか、実はそもそも隣にいることすら忘れていた。

が、それは試合にのみかなり集中できている証拠。そして何よりも試合が楽しい。
最終試合の内容は正直何も記憶していないが、全てを忘れて殴り合っていたら是空が勝っていた。
試合中に勇気を出して振ったしゃがみ中Pがヒットしたのが勝機だったのを記憶している。

苦しくもギリギリで勝利。

対戦ありがとうございました。握手をして席を立ち上ろうとするが足の感覚がない。
……のをバレないようにいかにも余裕がありそうな感じで、気合で立ち上がる。

このとき体にも力が入らなかったので、代表が次の試合までパンテラを持っててくれたのがありがたかった。もうパンテラ(5kg)を持ち上げる力は筆者に残っていなかったのだ。体力を温存させてもらえることがどれだけありがたいことか。

*ザンギと死闘を繰り広げて脳がオーバーヒートしているため、ここらへんの記憶が欠落しています。

筆者は薄れゆく意識の中で、他の選手の試合をガン見しつつ、極限まで跳ね上がった心拍数と疲労を抑えていく。試合中のモニターを見渡せばバーディー、ザンギ、アレックス。

投げキャラしかいない……どうやらここは是空にとって地獄のブロックだったようだ。意識がさらに遠のくのを感じた。

しかし、ブロック決勝に勝ち上がってきたのは反対側に居た「メナト」のプレイヤーさん。

これは筆者にとってはとても運が良い。
メナトとはそこそこ対戦しており、ある程度の対策はできているし、何より投げキャラに比べれば900倍は戦いやすい。投げキャラを倒して上がってきてくれたのはとてもありがたい。

そして相手の子はまだまだ若そうだ……(完全に社長になりきっているためそう見えた)。
ならば、どう考えてもこの大会は緊張しているだろう!
……と思い込むくらいが大事なのだ。

(筆者の方が絶対に緊張している+必死に余裕を持とうとしている。)

■プール決勝メナト戦

まずは先程と同様に「老」で遠距離戦から試合に入る。
水晶設置→爆発に気を付けつつ、弾の打ち合い。

相手は絶対に緊張してる読みで何度か跳びを狙うも、冷静に全部落とされる。

(全然緊張してないじゃんか!)

筆者もじっくりな立ち回りに切り替え、お互いなかなか大ダメージが与えられないまま是空のトリガーが先に溜まる。

「若」に変身し、強気に前に出て画面端に追い詰め、どん欲にリターン重視の攻めを押し付けにいく。相手は冷静かつ的確なプレイヤー。一度しのがれたらもう二度のチャンスは無いだろうくらいの気持ちで押し切ってなんとか勝利。

2試合目も同様の立ち回りで、同じ展開に持ち込むも、今度はメナトのトリガー①で切り返されてしまう。我慢するしかない恐怖の時間。集中してなんとか崩しを凌ぎきる。
楽しさが緊張を上回っていたのか、そこそこ冷静に画面を見れていたようだ。

そこから先は覚えていないが、気が付けば是空が勝っていた。2-0で勝利。
試合がめちゃくちゃ楽しかったので、もっとやりたかった。

また今度対戦しましょうと約束し、筆者はEVO JAPAN初日をウィナーズで生き延びた。

試合を終えて帰ってきてみれば、レンさんもはやおも無事にプールを勝ち上がっていたようだ。自分が一人で勝つことよりも300倍嬉しい。皆で喜びを分かち合いつつ、筆者たちは会場を後にした。
今日はお疲れ様……。おやすみ……可愛い俺のパンテラちゃん……

(次回:最終話)

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